一緒に歩く家路。
ふと足を止める。なぜならほんの少し胸が痛むから。
気づかずに先に行ってしまった背中を見つめると、さらに痛む。
でも、ずっと気づかないままじゃない。
「カカシ先生、どうしました?」
数歩先で振り向いた貴方は、立ち止まって名前を呼ぶ。
痛む胸をぎゅっと押さえる。
「……ちょっと持病の心臓発作が」
「ええっ、大丈夫ですか!?」
慌てて駆け寄ってくる姿に、痛みはさらに増す。
「そんな持病があったなんて……!」
「大丈夫ですよ。すぐ治まります」
「本当に?」
心配そうに尋ねる貴方に笑顔で頷く。
本当は治まりやしないけれど。
だってあなたを想うといつも痛むよ、このおんぼろ心臓。
胸は高鳴り、全身へと血液を送り出す。好きという感情と共に。
おんぼろだけど愛おしい俺の心臓。
その心臓を酷使してくれる貴方はもっと愛しい。
このおんぼろ心臓を動かしてくれるのは貴方だけ。
きっとどんなに探しても、貴方だけ。世界で貴方だけ。