朝任務をもらってこなしてくれば、当然午後は報告書を出す人で混雑する。
そんなごったがえした人混みの中でも、うみのイルカの前に一番長蛇の列ができていた。
受付所のアイドルと密かに言われているイルカに、報告書を出して『お疲れさまでした』と言われたいと願う人間は多い。そのせいで列はいつも長かった。
大人しく並んでいたカカシがようやく自分の番が回ってきて、口を開く。
「イルカ先生、今度いつ逢える?」
「いつって……カカシ先生」
「はい」
イルカは呆れたような表情でカカシを見上げたが、当人はにこにこと答えを待っている。
なんと答えるのだろうか。周りは固唾を呑んでイルカを見守るしかない。
「今日の受付業務は6時に交代だから、7時には家で逢えますよ」
「ええっ、まだそんなにかかるんですかぁ。俺、待てませんよー」
「ちょっと我慢すればすぐですよ」
イルカは書類処理に集中しながらも、宥める言葉を口にしてカカシを適当にあしらっている。
カカシはうーんと考え込んだ後、にこやかにのたまった。
「やっぱり我慢できないから、あと1時間したらまた逢いにきます!」
受付所では、軽やかな足取りで去っていく上忍の後ろ姿を見ながら、この写輪眼め!と心の中で呟く人間続出だったらしい。