【43:あたしには、キミだけ】

「イルカ先生、好きです大好きです。俺には、あなただけです。もうあなたのためなら死んでもイイ! あなたがいないと生きていけない! もう好きで好きで息が止まりそうなんですっ!」

カカシが唾を飛ばさんばかりに叫んでいる。
というか、実際唾が飛んだ。あー、迷惑至極。
「で。本人にはいつ告白しに行くんだ? もう練習は嫌ってほどやっただろうが。いい加減本番行ってこい」
「だってさ! 大事な告白なんだよ。目をつぶってでもできるよう練習しておかなきゃ!」
告白は目をつぶってでもできるんじゃないか?
ああ、目をつぶってるから唾が飛んでることに気づかないのか。本番でそれやったら良い返事は100%貰えないと思うぞ。
「この告白で一発で恋に落ちてもらえるレベルにならなきゃ!」
どんなレベルだ、それ。
無理無理無理。
「アスマ、明日も練習に付き合ってくれ」
「嫌だ」
こんなのに付き合ってられるか。
早く当たって砕けてしまえ。
そうすれば俺は静かな毎日を過ごせる。
っていうか、アカデミーの職員室の前で毎日練習してる時点でイルカには丸聞こえだと俺は思うんだが。カカシに言ってもどうせ聞きやしないだろうから、言うだけ無駄だろうが。
せいぜい俺を巻き込まずに頑張ってくれ、と言い置いて職員室の廊下を後にした。


[2007.05.12]