「ぷ。なんだよ、それ。青空のブックカバーなんて似合う本じゃないだろーに」
腐れ縁の悪友が俺の手にした本を見て笑う。
たしかに18禁の本だからね。爽やかな青は似合わないという自覚はある。
でもこれは外すわけにはいかない。
「だってさぁ、イルカ先生が『隠しておくのは慎みというものです』とか言って、買ってきてくれたからさー」
愛だよねーと続けると、無礼千万な髭は涙を流して笑った。
青い青いあの人みたいな空色のブックカバー。
貰ったときにはどうしようかと思った。だって手垢がついたりしたらどうする?
というか、それ以前に本の内容が問題なのだけれども。
しかし、満足げな笑顔を前に、『ねぇ、せめて髪の色と一緒だったらよかったのに』とは、さすがに口に出しては言えなかった。
だから鮮やかなまでの空色は、今も俺の手の中にある。