俺の大好きな大好きなイルカ先生が言った。
「写輪眼ってレーザーが出るんですってね!」
「え」
それはもうわくわくした表情で。
秘密は知ってるんですよ、と言わんばかりに得意げに。
「昔サスケが言ってました。今はできないけど、大きくなったら必ずできるって」
嘘。そんなの聞いたことないよ。
「他には何ができるのかって聞いたら、DVDを写輪眼で焼けるようになるって教えてくれました」
何その生活に密接した話題は。
まるで今なら20%OFFで新品フォーマット済のDVDもつけますよ、なんていうお買い得情報的な特典は。
仮にも血継限界なんだから、そんな技であるわけがないのに!
イルカ先生、血継限界といえど人間なんですよ?と問いたかった。
しかし、すごいですねぇ、といささか興奮気味な目の前の恋人。その姿を見て、当時のことが容易に想像できた。
サスケの奴。イルカ先生があんまりにも期待に目を輝かせて聞いてくるから、嘘つきやがったな!
たしかにこんな無条件に寄せられる期待をどうして裏切れようか。サスケの気持ちは痛いほどわかる。
だがしかし、その嘘のツケは今俺に回ってきている。
どうする、俺!
「やっぱり実際やってもらうのは無理ですか?」
しゅんと意気消沈するイルカ先生を見てしまった俺に、もはや選択権はなかった。
「そんなことありません。俺に任せてください! ちゃ〜んとDVDを焼いてみせます」
「本当ですか!?」
口からでまかせを言って、しまったと思ってみても後の祭り。なんとか誤魔化さなくては。
「ただ、今はちょっとチャクラが足りないんで……明日、そう明日にでも!」
「わぁ、楽しみです」
イルカ先生の喜ぶ表情は輝いていて、俺には眩しいくらいだ。
この調子では、明日になっても忘れている可能性などゼロに等しい。
サスケのばかやろー。
お前なんて、お前なんて、ナルトにボコられてしまえ!
その夜、量販店に音速で駆け込んでDVDプレーヤーを購入し、なんとか幻術で誤魔化して事なきを得た俺だった。
そんなわけでイルカ先生はいまだにそれを信じてる。