【休日の過ごし方】


「イ・ル・カ・せ・ん・せv」
子供のように窓から顔だけを覗かせている姿は、とても上忍とは思えない。
どうしても頬がゆるんでしまうのは仕方がないことじゃないか?
「遊びましょv」
満面の笑顔でそう言われて、困った。
「すみません。少し仕事が残っていたので持ち帰ってるんです。まだしばらくかかります」
「ええーっ!休みの日に何で仕事なんてしてるんですか!働き過ぎですよ」
「でもこれが終わらないと困るんです。終わるまで待っててもらえませんか?」
「……はぁーい」
いかにも不満たらたらで、渋々返事をするのが可愛らしい。
なんて思えるなんて、俺も末期かな?
苦笑しつつも卓袱台に向かって書類を整理し始める。
ふと気づくとカカシはつまらなそうに膝を抱えていた。
ぶぶっ。お尻でバランスをとって起き上がり小法師のようにゆらゆらしている。
里の誇る上忍が、『写輪眼のカカシ』が、こんな人だなんて誰が知ってるんだろうか。
俺だけだと思うと喜びを隠せない。
「カカシ先生」
そう呼ぶと顔をこちらに向ける。
なんだろう、と首を傾げているのがまた笑いを誘う。
「相手はしてあげられないから。代わりに、ね」
ポンポン、と膝をたたく。
最初は訳が分からずキョトンとしていた顔が、急に目を輝かせる。
「い、いいんですか!?」
「はい。こんなんでよければどうぞ」
そう返事をするとすっ飛んできた。
「えへへ」
嬉しそうな顔を見て、こんなのがどうして嬉しいのか少し理解に苦しむ。
けど、本当に嬉しそうだから。
まあいいか。
カカシの頭が膝の上にきちんと乗っかったのを確認して仕事に戻る。
早く終わらせて美味しいものでも作ってあげようか。
そう思い集中してたのがよかったのか、思ったよりも早く終わった。
そういえば静かだな、と気づき下を見ると。
すやすやと眠っていた。
銀色の髪が日の光に反射して綺麗だ。
ああ、睫毛まで銀色なんだ。
はじめて気づいた。その事実は胸の中からじわりとしたものを滲ませた。
柔らかい髪を撫でる。
愛しい人。
撫でているとカカシの眼が開いた。
「おはようございます、カカシ先生」
「んー…?」
まだ寝ぼけているようだ。
こんな姿を見られるのも俺だけ。
どうせ寝ぼけてるのならわからないよな。悪戯心が湧いてくる。
唇を重ねるだけのキス。
ガバッ。
急に起き上がり、肩を掴まれる。
「い、今のなんですかっ!?」
「え?なんですか?」
「今、今…」
「どうしました、夢でも見ましたか?」
笑いながらそう答えると、疑問符をまとわりつかせながらも追求はしてこなかった。
やっぱり相当寝ぼけていたらしい。
ぷっ。可笑しい。
どうしても笑いを堪えきれなくて、声を上げて笑ってしまった。
「…イルカせんせぇー」
子供みたいな情けない顔がますます笑いを誘った。
腹が痛い。
「ちぇ。もういいですよ」
「あはは、すみません。お腹空きませんか?」
「はい。あ、仕事は…」
「終わりましたよ。これから何か作りますね」
「じゃあその前に」
そう言うと、カカシの顔が近づいてきてキスされてしまった。
あんまり幸せそうに笑うから。
仕方ないかな、とか思ってしまう。
こんな平凡な時間が俺を幸せにしてくれる。
まだまだ日は高いから、休日はたっぷりある。
さあ、これからどうやって過ごそうか。


END
2001.11.11


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