□ リュミエールの翼 □


物心ついた頃から、世界は遠かった。
まるで切り取られた映画のスクリーンのように。
辺りは真っ暗で、遠くに小さいスクリーンが見える。
そこだけはぼんやりと明るいけれど、
俺の周りの闇を切り裂くわけでもなく、ただそこだけを照らしていた。
光の中には師匠や仲間が生きて動いているのが見えるが、
どれも遠く、触れることはできなかった。
また、誰も触れてはこなかった。ここまで届くことはなかった。
きっとあれに触れることは一生ないのだと思っていた。
まるで吸血鬼が太陽の光を畏れ、永遠に憧れるように。
ずっとこの暗闇に座って、ただあの光を見つめているしかないのだ、と。
そう思っていた。


スクリーンは今はもう無い。
俺の立っている場所には眩しいくらい光が射し込んでいる。
あの光の中にいるのだとわかる。
ここは自分の手で直に触れ、吐息を感じ、生きていることを実感できる。
ただ一つだけ届いた手がここまで引っぱってきてくれた。
その手は。
今も目の前にある。

「イルカ先生」

呼ぶだけでそこに存在する。
光の翼。


END


------------------------------------------------------
なんか違う、なんか違うよ!
本当に見るだけ無駄なポエムでした。
いつも余計なものをつけてしまって、エチゴヤさんすみませんー!
冬之介 2002.11.16


禁・無断転載+複製+複写+写輪眼