「「「イルカ先生、誕生日おめでとう!!」」」
ナルトたちがわっと出迎えた。
「お前たち……ありがとうな」
イルカ先生は一瞬驚いたものの、嬉しそうに七班全員の頭を撫でた。その後、小さな花の鉢植えや本のしおりにお手伝い券なんかを貰って目を潤ませている。
がしかし、メインイベントはこれから。最後に贈られる恋人からのプレゼントが一番喜ぶものと相場は決まっているのだ。
「へい、お待ち。一楽特製お誕生日スペシャルラーメンだよ」
「え、オヤジさん!?」
絶妙のタイミングで出てきたラーメンからは、熱々の湯気が立ち上っている。スペシャルと言うだけあって、普段よりもさらに美味そうだ。何よりも具が豪華なのだ。
さすが茶色い濃厚と呼ばれた男。期待を裏切らないイイ仕事するぜ。
「さあイルカ先生、熱いうちに食べてくれ。カカシさんからのプレゼントだよ」
「えっ、カカシ先生から?」
イルカ先生は振り返って目を丸くしている。
「頼まれて、今日はイルカ先生のためだけに作ったんだ。カカシさんが全国津々浦々から取り寄せた最高級の食材ばかり使って作ったラーメンだから、味の方も保証付きだよ」
そう、自分でラーメンが作れない代わりに食材集めは頑張ったのだ。イルカ先生の喜ぶ顔のために。
「カカシ先生……」
感動のあまりまた目が潤んでくるイルカ先生を見て、こっちまで嬉しくなった。でもモタモタしているとラーメンがのびてしまう。せっかく作ったのだから一番美味しい時を逃して欲しくない。
「ほら、食べて食べて。まずはイルカ先生が食べてくれないと、こいつらもスペシャルラーメンにありつけませんよ」
「俺も早く食べたいってばよ!」
食い意地の張ったナルトの催促が効いたのか、イルカ先生もようやく頷いて箸をとった。
「いただきます」
一口啜る様を全員が固唾を呑んで見守る。口にした瞬間、ぱぁとイルカ先生の顔が輝いた。
「美味しい!」
「本当?」
「はい、すごく美味しいです。今までこんなラーメン食べたことありません」
感激するイルカ先生。
喜ぶ姿にじーんと喜びを噛みしめる。努力が報われたと思う。毎日いろいろと頑張って走り回った甲斐があった。
そんな感慨に浸っている横で、ナルトが「食べていい?食べていい?」と涎を垂らしている。
イルカ先生が「いいぞ」と言うやいなや自分の器に首を突っ込む勢いで食べ始めた。
「うめー!何これ、このぷりぷりしてるやつ」
「それはフカヒレって言ってだなぁ……」
一楽のオヤジが子供たち相手に得意げに説明してやっていたが、俺はそんな話よりも心底美味しそうに食べるイルカ先生に目を奪われていた。
じっと見つめていると、ちゃんと最後の一滴まで汁を飲み干し、「ごちそうさまでした」と礼儀正しく手を合わせた。ちゃんと食べ終わったことを確認してから、
「誕生日おめでとうございます」
と言った。
俺が生きている時代に産まれてきてくれたことにすごく感謝している。だからできる限りのお祝いをしたいと思うのだ。自分が幸せでいるのと同じくらい幸せであってほしいから。
「カカシ先生、最高の誕生日プレゼントをありがとうございました」
幸せそうなその表情に、俺は大満足だった。


Happy Birthday!!


●back●
2005.05.28


●Menu●