今日は珍しく朝早く目が覚めた。
早起きは三文の得と言うし、イルカ先生の出勤姿でも拝みに行こう!
我ながらナイスアイディア。
日が照って今日も天気が良さそうだし、空気も美味い。
お、前方にイルカ先生はっけーん!
ん?それに近づく影は……
「おはよう、イルカ!」
あ、アンコだ。朝から機嫌がいいなんて珍しい。
あいつは昔からの知り合いで、朝に弱い同類なのだ。
それでもって団子さえ与えてやれば機嫌がいいという女ではあったが。
「おはようございます。アンコ様」
「いい天気ね」
「ええ、本当に」
ああ、心優しいイルカ先生。そんな奴にまで律儀に挨拶を返すとは。
そんなところも好きー!
「今日もいいケツしてるわね!」
「あはは、ありがとうございます」
あああっ!い、い、い、いま、何をしたぁ!!!
アンコの奴、俺のイルカ先生の可愛いお尻に触りやがって!!
しかもイルカ先生も嫌がってないってどういうことだ!
アンコに触らせるぐらいなら、お、俺に。
つつーっ。
いかん、鼻血が……
いや、そんなことをいってる場合じゃなくて!
「アンコォォォォ……死ね!」
「おっと」
ちっ。かわしやがったか。
「アンコ様!大丈夫ですか? どうしてこんなことするんですか、カカシ先生!」
本気で怒っているイルカ先生。
ああ、どうして。俺はアナタを守ろうとしているのに!
「だってアンコが俺のイルカ先生のお尻を触ってたから!」
「誰が『俺の』ですかっ」
ああん。そんなつれないところも好きー。
「ハハハ。私が人のモノに手を出すわけがないじゃない。ただの痴漢よ。心配すんなー、カカシ!」
ただの痴漢って……
どこをどう心配するなと?この女は!
「イルカ先生。こんな奴からセクハラ受けたら殴っていいんですよ!」
「え。俺、てっきり筋トレをサボってないか確認されているのかと思ってました。いつもそうでしたから」
「い、い、いつも!?」
いつもやってんのか、アンコめ!!
それにしても痴漢されてるのにも気づかないなんて、騙されやすいイルカ先生。
いや、そんなとこも可愛いんだけど。可愛いんだけど!
「うんうん、筋トレは大事よね。これからも頑張んなさい」
「あ、はい!」
まるで今までの所業は修行の成果を確認するためと言わんばかりの口調じゃないか。
くそっ。これだから特別上忍は!
俺だってこれでも里が誇る上忍なんだが。
はっ。そうだ。
腐っても上忍。ここは一つ権力を行使すべし。
「イ、イルカ先生!これからはその確認は俺がやりますからっ」
これで毎日イルカ先生のお尻に触れるじゃないか。なんてラッキー。
「え。カカシ先生はなんか嫌です」
「ええっ!」
そ、そんな。
「上手く言えないけど嫌な感じがします。これからはガイ先生にお願いすることにします」
「だっ、駄目です!それは絶対駄目ー!!」
そんな美味しい役、誰がやらせるかー!
どうしてそこでガイなんだ。
もしかして奴はイルカ先生の中では真面目熱血教師として認識されているのか!?
「ガイなんてもってのほかです!」
「じゃあ、やっぱりアンコ様に……」
「アンコのはセクハラです!先生をいやらしい目で見てるんですー!」
じたばた。
どうしてわかってくれないんだ。
俺の行為には愛が溢れてるっていうのに!
他の奴がやったら、それは全部セクハラなんです!
「そりゃあカカシ、あんたのことでしょ」
「うるさいっ」
「イルカ。カカシにセクハラされたら殴ってかまわないんだからね」
「はぁ」
「アンコ。余計なこと言うなーっ」
ああ、イルカ先生のお尻ーー。
「カカシ先生」
「はいっ」
も、もしかして触っていいのか?
期待に胸躍らせて、じっと言葉を待つ。
「もしよかったら毎朝一緒に筋トレしませんか?」
「え?」
「一人だとサボりがちだけど、他にする人がいるとやる気が出ますから」
毎朝。毎朝かー…
朝は弱いけど毎朝イルカ先生と二人きりと思えば安いもの。
「はいっ。二人で頑張りましょうね!」
後日、アンコ特別上忍によって朝の筋トレが周囲に知れ渡り、ナルトやサスケまでトレーニングに参加するようになってしまい、二人きりなど夢のまた夢となり果てたのはまた別の話。
END
2002.03.16 |