理解したけど納得はしてないとカカシ先生は言う。それは一体どういうことなんだろう。
なんだかカカシ先生の言動はよくわからないことばかりで、正直困ってしまう。
「だいたいおかしいじゃないですか。いくら未来から来たからって、わざわざイルカ先生の家で寝泊まりする必要なんてないですよ!」
「でも他の人に事情を説明するわけにも……」
「説明できないんだったら、そこら辺で野宿でもしてりゃあいいんです」
カカシ先生はぷいとそっぽを向いてしまった。
「そんな!あんまりじゃないですか。戦場ならともかく、こんな里の中で」
なにも、暖かい灯りの点る人家を目の前に野宿することはない。そう抗議すると、
「じゃあ俺の家に引き取りますよ」
と猫の子か何かのように言う。しかも渋々といった表情だ。
「どうせ暮らすなら、俺はイルカさんの家がいいなぁ」
カカシさんがにこにこと笑ってそう言った。
「迷惑かもしれませんけーどね」
「そんな!迷惑だなんて思ってません。こんなところでよければいくらでも居てくれていいんですよ、カカシさん」
むしろ居なくなってしまったら寂しいと思う。一緒に暮らすのは、今までとても楽しい毎日だったから。ひそかに任務が長引くといいなとさえ思っていたくらいだ。
「ありがとうございます、イルカさん」
これで意見が一致して、カカシさんは出ていかないのだと思うと嬉しくて笑顔になった。
「つまり。イルカ先生はこいつを追い出すつもりはないんですね?」
「はい、もちろんです」
カカシ先生にきちんと返事をする。これでわかってもらえただろうか。
「それじゃあ、俺もここで暮らします」
「えっ」
「こんな奴と一緒だなんてイルカ先生が心配です」
心配って何が?
「それに、こいつがここに住んでいるなら、俺だって!そうじゃないと不公平じゃないですか!」
何が不公平なのか俺にはさっぱりわからない。けれど、すごい真剣な表情でそう言われると、
「こんな狭い所でよければ、ど、どうぞ」
などとついつい言ってしまったりするのだ。
こうして何故かカカシ先生も狭い我が家で暮らすことになった。
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2005.03.05 |