雷鳴
それは裁きの光のように
まるで神の怒りのごとく天の頂より降り立ち
すべての罪を焼き尽くすのだ
その清らかさよ
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雷鳴
それは一筋の救いの光のように
まるで正義の剣のごとく目の前の闇を切り裂き
心をも奪い取ってゆくのだ
その美しさよ
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「あ、雷が」
この時期は、たとえ予報が晴れだったとしても油断はできない。
瞬く間に雨雲が広がり、遠くで雷が鳴っている。
「降ってきそうですね」
まるでその言葉を口にしたのが合図のように、ぽつりぽつりと降り出した。
「とりあえず、あの木の下まで走りましょう」
かなり大きな枝ぶりの木で、あそこなら大の大人が二人並んでも
雨がしのげるだろう。
辿り着く頃には、もうすでに土砂降りともいえるくらいの激しい降り方。
「うわっ。びしょ濡れだ」
二人とも服を絞ればかなりの水が滴る。
「しばらくしたら止まないかな」
「少しここで休んでいきましょうか」
「そうですね。急ぎの用事があるわけでもないし」
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初めて会ったのはナルトの下忍試験の日。
子供達と里に戻って報告に行こうとしていた時。
アカデミーの門の前で心配そうに待っているあの人に恋をした。
漆黒の髪に黒い瞳。
何故かこの人ならば自分の汚い罪を焼き払ってくれる。
そんな錯覚に眩暈がした。
どうしてそんなことを思ったのか。
ああ。
なんとなくこの人は雷鳴に似ている。
そう思ったのだ。
澄明で清廉としたその姿は、決して罪を許さず苛烈なまでに焼き尽くすだろう。
それはきっと触れれば切れるほどの鋭い清らかさで存在する気がした。
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初めて会ったのはナルトの下忍試験の日。
無事に合格したか心配でアカデミーの門の前でうろうろと待っていた時。
子供達の後ろからゆっくりとついてくるあの人に恋をした。
銀色の髪に青い瞳。
何故かこの人ならば自分の醜い心の闇を切り裂いてくれる。
そんな錯覚に眩暈がした。
どうしてそんなことを思ったのか。
ああ。
なんとなくこの人は雷鳴に似ている。
そう思ったのだ。
麗雅で凛然としたその姿は、決して闇を近づけずいとも容易く切り裂くだろう。
それはきっと触れるのを躊躇うほどの畏れ多い美しさで存在する気がした。
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「ああ。災難ですね、こんなところで足止めされてしまって」
「いいえ。俺、雷見るの好きですから」
「ホントですか?実は俺もなんです。俺達、気が合いますね」
「そうですね」
二人は顔を見合わせて楽しそうに笑った後、
魅せられたように一言も発せずにずっと雷に見入っていた。
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雷鳴
それはまるで彼の人のようで
心揺り動かされるのだ
END
2002.06.22 |