そこに寝ていたのは白雪王子でした。カブトに襲われた後、足を怪我したため休むところを探していたのです。しばらく歩き回ったために迷子になり、この小人たちの家にようやく辿り着きました。用意してあった食事をこれ幸いと食べ、図々しくもベッドで一休みと横になったのでした。
「ここで何をしている」
サスケが尋ねると、白雪王子は正直に今までのことを話しました。
継母が自分を殺そうとしていること。
足を怪我してしまってあまり動けないこと。
あんまりお腹が空いたのでテーブルの上にあったものを食べてしまったこと。
「可哀想な話だわ。ここに置いてあげましょうよ」
サクラが女の子らしく涙を溜めながら、提案しました。ナルトもぐずぐずと鼻をすすりながら、思いきり頷いています。
「俺たちが留守の間に、料理をしたり、洗濯をしたり、家の中を掃除したり、綺麗にしてくれるなら置いてやってもいい」
とサスケは言いました。しかし返ってきた返事は。
「ごめーんね。俺、王子だからそんなのやったことないんだよねー」
たしかに白雪王子は今まで全部をお付きの人にやってもらっていたので、家事全般は一切やったことがないのです。できることといえば、お金の計算や剣術ぐらいでした。しかも、今は怪我をしているので、剣術は無理のようです。
しっかり者のサスケは渋い顔をしましたが、ナルトとサクラに可哀想だと泣きつかれ、結局は白雪王子の居候を認めることになりました。
一方、お城では。
カブトの心配を余所に、大蛇丸はうきうきと鏡の前に向かいます。
「鏡よ、鏡。この世でいちばん美しくて強いのは誰?」
しかし、返ってきたのは大蛇丸の望んでいた答えではありませんでした。
《だからそれは、白雪王子だって言ってるでしょ》
「まだ生きてるっていうの!?」
《まだ元気みたいね》
なげやりな鏡の返事は、内容も態度も大蛇丸を怒らせるには充分でした。
「やっぱりあの写輪眼ね。川に落ちても生きているなんて、しぶといったら!」
報告をしたカブトはばれないかとヒヤヒヤしていましたが、嘘をつかれたとは気づいていないようです。
「悔しいわ。私もなんとかして写輪眼を手に入れたい!」
《写輪眼というなら、たしか今白雪王子と一緒に暮らしているサスケという小人も両眼が写輪眼だわね》
鏡は驚くようなことを教えてくれました。そんなことまでわかるとは、さすが魔法の鏡です。
「なんですって!」
大蛇丸は顔を輝かせました。
「子供の方が都合がいいわね。カブト、その子を攫っておいで!」
こうして、カブトに命令は下ったのでした。
「というわけで、今日はサスケ君を攫いに来ました」
カブトは普通なら好感が持てそうな笑みを浮かべて、小人の家にやってきました。
「はい、そうですか。……って渡すわけないでしょー?だいたいサスケたちは今仕事に行ってていなーいよ」
一人で留守番をしていた白雪王子が答えました。
「では、帰ってくるまで待たせてもらいます」
「一宿一飯どころかだいぶ世話になっちゃったから、外敵から守ってあげるくらいはしないとねぇ」
白雪王子はのんびりと答えながらも、間合いを取り始めます。
「一応こちらも馬鹿ではないので、今回は僕一人じゃありません」
ピーッと吹かれた指笛と共に、木の陰から現れたのは5人の傭兵でした。
しかし、武芸だけは大得意の白雪王子に敵うはずもありません。傭兵たちはあっさりと倒れ、カブトもこんなことで死ぬのでは分が悪いとあっさりと逃げていきました。
「ふーーっ、やれやれ。大蛇丸にも困ったもんだ。今度はサスケを狙ってるらしいが、簡単に渡すわけにはいかないよー」
白雪王子は敵を撃退し、すっかりお腹が空いていました。そこで家の中に入り、テーブルに置いてあったリンゴを猛烈な勢いで食べ始めました。
しかし、それが災いしてリンゴがのどに詰まってしまったのです。
そこへ小人たちが帰ってきました。
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