「カ、カカシ先生が定時に来てる!」
サクラは驚きのあまり声が裏返っている。
「ん〜、サクラか。他の奴らはどうした」
「先生がいっつも遅れてくるから、二人ともあと1時間ぐらいしないと来ないんじゃないかな?」
「なにっ、怠慢な!」
「それ、カカシ先生に言われたくない」
もっともなことを言われているのにカカシは不満そうだ。
二人でしばらく石の上に座り込んでいたのだが。
「なあ、サクラ。…イルカ先生ってさー、メンクイってホント?」
「ぷっ。誰に聞いたの?」
「あー、うーん」
「イルカ先生が変な顔好きなのって結構有名よ。今頃そんなこと聞いてるようじゃ情報収集能力に問題ありじゃない?」
くすくす笑って忍びの能力を問われたわけだが、そんなことはカカシの気を引かなかった。
「ゆ、有名なのか…」
ガクリと肩を落とすカカシ。
そんな上司に少し同情したのか、サクラは慰めの言葉を口にした。
「大丈夫よ。人間、顔じゃないわ!」
「サクラ、それ慰めになってない…」
可愛い教え子の言葉から脱力感に襲われ、更に暗くなるカカシだった。
「そうだぞ、春野。人間顔じゃないかもしれんが、中身がどうしようもない人間はどうする」
「アスマ先生!」
「何だよ、髭」
声をかけてきたのは10班の担当教官アスマだった。
「そうですね。世の中って厳しいですね…」
「ってお前ら。何失礼なこと言ってんだ!」
「本当のことだろーが」
「そうですよねー」
なんか仲良くないか、この二人。なんで?
カカシに関わると、周りは自然と結託してしまうのだということを本人は気づいてないらしい。
「はぁー、イルカせんせぇー」
カカシの呟きはアスマとサクラの笑い声に紛れてしまったのだが。
+++
その頃のイルカは。
アカデミーの職員室で丁度休憩中だった。
「昨日のカカシ先生、少し変だったなー。風邪でも引いたのかな」
そんなことを言う鈍いイルカではあったが。
やっぱり人間って顔じゃないんだなー。
カカシ先生を見てるとそう思う。
だってあんまり幸せそうに笑うんだ。
それを見ていると顔の部分がどうとかってどうでもよくなる。
カッコイイ人はたくさんいるけど、あんな風に笑う人はあの人だけだ。
自分まで幸せになる。
などと、カカシが聞いたら喜んでいいのか悲しんでいいのか分からないことを考えているのだった。
HAPPY END?
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2001.11.17 |