【明日の夢を今日夢見る1】

イルカ先生と30代カカシと20代カカシ(五万打アンケート?)


初めて『はたけカカシ』に会った時、笑顔なのに眼が笑ってなくて少し怖い人だと思った。
暗部出身だと聞いて、ああそうなのか、と納得できた。
ナルトの担当上官なので、どうしても他の人よりも元担任の俺と接する機会が多くなるのは仕方なかった。受付業務に入れば必ず俺に報告書を持ってくるのは、もしかして気を遣ってくれているのかもしれない。そう思うと無碍にもできなかった。
しかし、会うとまるで親の敵のように睨みつけてきたり、報告書をもらうときにちょっと触っただけで火傷したように手を振り払ったり。勇気を持って話しかけてみてもろくな返事が返ってこない。向こうがこちらを嫌っているのは確実だった。
まさか7班の任務に遅刻してくるのは、俺への嫌がらせじゃないだろうなとまで疑いそうだ。いや、まさかそこまではと前向きに考えようとしても、それに成功した試しはなかった。
嫌われている、と自覚するのは正直気分の良いものじゃない。最近落ち込む原因ですらある。嫌いなら嫌いで、いっそ会わないようにといろいろと時間をずらしてみても、なぜか毎日会ってしまう。
なぜだ。なぜなんだ。
はたけカカシには、できればあまり関わりたくないと思っていた。
それなのに。
「こんばんは、イルカ先生」
「カカシ先生?」
「一緒に帰りませんか」
それなのに、今目の前にいるこの人は、とてもあの『はたけカカシ』とは思えないほど満面の笑みで立っていた。
いや、満面というのは正しくないかもしれない。だって顔のほとんどが隠れているのだから。けれど唯一の隙間から覗いている右目は確かに笑っていた。
「あの……誰ですか、あなた」
「ははは。やっぱりわかっちゃいます?実は俺、あなたの知ってる『はたけカカシ』じゃないんです」
「は?」
「えー、言うなれば『はたけカカシ』のニセモノです」
「偽物って!どこの敵ですかっ」
こんな胡散臭い偽物は見たことがない。自分で偽物だと言うなんておかしい。
いったい目的は何だ、と思いながらクナイを取り出そうとする。しかし、たとえ偽物だろうと上忍ではあるようで、すぐに腕を捕まれ、後ろにねじり上げられて身動きが取れなくなる。
「やだなぁイルカ先生ったら。話は最後まで聞いてくださいよー?」
冗談みたいな飄々とした声。
すぐに殺すつもりはないみたいだ、と思う。
隙があればすぐにでも攻撃できるよう気を引き締めながら、抵抗するのは止めた。まずは目的を知らなくてはならない。
その態度に気を許したのか、力を緩め、
「ああ、痛くしてごめんね、イルカ先生」
とねじった腕をさすったりなんかする。
なにか変だ。まるで親しい者のように振る舞う言動に、知り合いにこんな馬鹿なことをする人間が居ただろうかと考える。心当たりは全くなかった。
向かい合わせに顔を突き合わせると、相手は口を開いた。
「実は。未来からやってきました」
「は?」
「今から十年後ぐらいかな?その未来の木の葉からきた『はたけカカシ』なんです、俺は」
何言ってるんだろう、この人!
どうしよう、神様火影様!
俺は目の前の人物を口を開けて呆然と見つめるしかなかった。


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2004.10.02


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