「で、結局写輪眼の使いすぎでチャクラ切れしてダウンか?」
「そーなんだよ!あのくそガキ共が……!」
「まあ、曲がりなりにも下忍の中じゃピカイチの連中ばっかりだしな」
「せっかくのチャンスがぁ〜〜」
ちゃんと思惑通り、子供達は実力を発揮してくれたようだ。
今度焼き肉をおごってやらにゃならん、とアスマは思った。
手加減されたとはいえ、写輪眼1人に6人で対抗するとはなかなかたいしたものだ。担当教官としても鼻が高い、と気分もよかった。
しかし、ぐじぐじと泣き言を繰り返すカカシを前に溜息をついた。
しょうがない男だ。
まあたしかに可哀想だったかもしれない。
そう思うと、つい慰めの言葉が口をついて出ていた。
「まあ、いいじゃないか。お前も夢を叶えてくれた良い人として好印象を与えたんだから、全部無駄ってことはないだろう」
「そうか。……そうだな!」
カカシの顔がぱぁっと輝き、浮上したようだ。
「やっぱそうだよね。これを次の布石にして更に親しくなれば……ふふふふ。頑張れ、カカシ。ファイト、オー!」
拳を握りしめて自分で自分を応援する姿は、遠目に見れば滑稽だが、目の前でやられたら笑い話どころではない。
薄ら寒いから勘弁してくれ、と言うしかない。
「はっ。こんなことをしてる場合じゃなかった!」
お前から話しかけてきたんだがな。
そう言いたいのをぐっと堪えた。
「イルカ先生が任務で遠出しちゃうんだ!じじいがお遣いを頼んだらしくて、俺は猛烈に心配だ。ってことで、これから後をつけて影から見守らないといけないから!じゃあな」
「おい、カカシ。待て! 下忍の監督はどうするつもりなんだー!」
止める暇もなく、すでにカカシの姿は忽然と消えていた。
「俺に7班の面倒も見ろってか?」
「カカシの子守の延長だと思ってやるしかないんじゃない?」
急に声をかけてきたのは紅だった。
どこから聞いていたのかはわからないが、きっと事情のほとんどは理解しているだろう。
つい仲間の気安さで愚痴を言いたくなった。
「なんだって俺がカカシの子守をしなきゃならないんだ」
「それは仕方ないわよ。特別手当はもらってるんだし」
「あぁ?」
「あら、知らなかったの? あんたのお給料、カカシのお守りの分も含まれてるって」
「なんだって?」
今なんて言った?
「だから、特別手当よ。お給料かなりいいでしょう?」
「……そういや下忍担当にしちゃあ、やけに気前のいい金額だとは思ってたんだが」
「ちなみにイルカ先生も特別手当付きよ」
そんなことは聞いてない。
というか、あれがカカシと付き合っていくための報酬だとしたら安すぎる。
しかも報酬をもらっているということは。
「俺は一生子守しなきゃならんのか」
衝撃のあまり、ちょっと今は立ち上がる気力が湧いてこない。
今どころか一生立ち上がれないかもしれない。
「がんばれー、アスマせんせぇー」
紅の笑いを含んだ巫山戯た応援はいつまでも耳に残り、アスマを苛むのだった。


END
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2003.03.29


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