『イルカ先生が見つかった』
その知らせは突然だった。
何の前触れもなく目の前に突きつけられて、呆然とした。
喜ぶより前に、もしこれが質の悪い嘘だったらどうしよう。
そんなことしか考えられなくて、ふらふらと教えられた病院へ向かった。


「命に別状はありませんが、安静が必要ですから付き添いは一人だけに」
医者がそう言って立ち去った後。
「俺っ、俺が側にっ!」
ナルトが勢いよく叫んで、その場にいる全員に止められた。
「ドベじゃあ五月蠅くして悪化させるのがオチだ」
「な、なんだとー!」
「それぐらいで大声出すこと自体付き添いに向いてないのよ」
サクラに諭されて少し考えるところがあったのか、ナルトも比較的大人しく引き下がった。
「その代わり、元気になったらすぐ知らせてくれってば!」
必ず、と約束すると子供達も安堵の表情を浮かべながら帰っていった。


付き添いはどうしても俺が、と無理を言おうと思っていた。
だが、意外とあっさりと認められた。
アスマの口添えもあり、周りから反論もなかった。
「だってお前ら、付き合ってるんだろ」
「どうしてそれを…」
誰にも言ったことはなかった。
それなのに。
「ばーか。あんな死にそうな顔してバレないわけないだろーが」
頭をぐしゃぐしゃと掻き回されても、まだ呆然としていた。
そんなに死にそうな顔だったろうか。
周りにバレるほど?
けれどその疑問を問いただす暇もなく、ただ一人病室に通されたのだった。


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