「ところでカカシ。お前、イルカとはどうなんだ」
ふと疑問に思い、聞いてみる。
「どう、って何が」
「何が、じゃなくてだな。告白しても相手にされてないんだろ?」
そうでなければあんなストーカー行為を繰り返しているはずもない。
「こ、告白なんて…そんな恥ずかしいことできるかっ。キャー!」
ほとんど口布で隠れている頬を赤く染め、その場にしゃがみ込んでしまったカカシ。
アスマの手からポロリと煙草が落ちた。
どこの女学生だよ、おい。
今時アカデミーの生徒でもそんなことは言うまい。
それでもかろうじて平静を取り戻して会話を続けてみる。
「つまり言ってないのか?」
「うーん。一応それとなくアプローチはしてるんだけどねー」
「へえ。それで反応は?」
「結構鈍い人でねー。ま、そんなところも可愛いんだけどね。エヘ」
あのカカシがエヘと、それはもう嬉しそうに笑う日が来るとは思いもよらなかった。
こんな奴ではあるけれど、できれば幸せになって欲しいという願いは少なからずある。
うまくいくようにちょっとだけ骨を折ってみるか。
というのは半分本音。
後の半分は。
カカシがあの中忍と付き合うようになれば、きっと俺のところへ来なくなるだろう。
アスマはそんな希望的観測を胸に抱いていたのだ。
そうなったらそうなったで、毎日惚気にくるかもしれないという恐ろしい予測は、本能が拒否してしまっているのかもしれなかった。


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2002.05.11


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