ナルトの元担任と現担当教官という、縁があるような無いような関係の二人。
おそらくカカシの方が年上だろうと思われるが、だが相手は上忍で元暗部のエリートだ。
それが二人で並んで歩くなんて、普通は緊張するなという方が無茶だろう。
てくてくと無言で歩く以外にどうしようがあるのだろうか。
それでも何も喋らないというのも気まずい気がして声をかけてみる。
「うみの上忍は…」
「イルカです。イルカって呼んでください」
「あー。イルカ上忍は…」
「上忍ってついてると返事しませんよ」
つんと横を向く姿も可愛らしくて。
でもまさか上忍を呼び捨てにするわけにもいかない。
「じゃあ……イルカ先生?」
おそるおそる提案してみる。
「譲歩します」
にこりと笑う。
それがまたなんとも可愛いらしい。
確かにナルト達の言っていたことは本当だったのだと今更ながら実感させられた。
普通、男に可愛いなんて言わないだろう。
だがこの人ならばその形容詞も間違っていないといえよう。
なんというか、そういう雰囲気があるのだ。
+++
イルカがカカシを連れて入った店は、さほど高そうではない割には雰囲気も明るい小綺麗な居酒屋だった。
客層も特に気どった感じではなく、カカシは胸を撫で下ろした。
あー、よかった。料亭とかだったらどうしようかと思ったよ。
なんといっても上忍の行く店なんて高いに違いないという先入観があったため、給料日前の限りなく軽い財布を今まで握りしめていたのだった。
「ここは魚も美味しいんですよ。あ、カカシ先生は魚お好きですか?」
「あ、はい。好きです」
イルカがよかった、と安堵の微笑みを浮かべた。
「お酒は何を頼みます?強い方ですか?」
そう尋ねられる。
「あー、結構ザルなんです。何でも飲みます」
「俺もなんです。じゃあ、今日はたくさん飲みましょうね!」
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