邸宅へと足を運ぶと、ちょうど三代目はお茶の時間とかで、その間会うことを許された。
けれど、カカシ先生は『三代目に直接会うのはちょっと……』と言い出して、外で待っているという。
しかたなく一人で会いに行くことにした。
「火影さま。ちょっとお聞きしたいことがあってお邪魔しました」
「なんじゃ」
くつろいでいるところを悪いなと思いつつ、自分もお茶菓子まで出してもらってお茶の香りを楽しんだ。
さすが火影さま、いいお茶使ってるなぁと思う。
いやいや、そんなことを言ってる場合ではなかった。
「突然ですが、過去へ行く術なんて存在しますか?」
「ふむ。たしかに禁術にはあるが……どうしてそれを?」
「いえ、あの…そのー」
やっぱりあるんだ!
「現在と過去の時空を繋げるのじゃ。難しい術でな。今この木の葉でできるのはわしと、そうじゃな……カカシぐらいかの。本人から聞いたのであろう?」
「あっ、はい。そうです」
やはりあのカカシ先生は本当に未来からやってきたのだ。道理で普段と違うと思った。
「しかし、気をつけることじゃ。なんといっても不安定な術だからの。過去へ行くと、その後何度か不定期に時空が繋がるのだが、最初に繋がった時に戻ってこないと元の時間と場所に戻ってこれる確率が非常に低くなる。次では必ずしも繋がるとは限らんのじゃ」
説明を聞いて改めて危険な術だということを感じた。このことをカカシ先生は知っているのだろうか。
さっきのにこにこと笑う姿を思い浮かべ、なぜか胸の当たりがちくちくと痛んだ。
「だが、まあどちらにせよ危険なことには変わりない。しかも時間を遡るわけだから制約も多い。この先使われることもないだろう。イルカよ、おぬしも使おうなどと考えるのではないぞ」
こんな一介の中忍にやけに詳しく説明してくれると思ったら、どうやら俺がその術を使おうとしていると誤解されているらしい。
「だ、大丈夫です!そんなんじゃありませんから」
「そうか」
三代目は穏やかに頷いてくれた。
昔から親代わりに何かと目をかけてくれた三代目の優しさに、じんときた。
それから心からお礼を言って部屋を辞した。
外で待っているカカシ先生のところに辿り着くまでにいろいろと考えて、ある結論に達した。
オウノ先生の件や術の存在を考えて、あのカカシ先生は未来からきたのだ。危険性の高い術を使って。正確な事情はわからないけれど、極秘といわれる任務はそれほど重要なことなのだろう。
自分にできる最大限の協力をしたいと決意した。


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2004.10.23


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